マイクロフローの時間

フロー理論を提唱したチクセントミハイは、わたしたちの生活の中のリラックスした状態のことを「マイクロフロー状態」と呼びました。
ただぼーっとしているとき、人と雑談しているとき、散歩しているとき、好きな音楽を聴いているとき、鉢植えに水やりをしているとき…マイクロフローの時間は何気ない日常の中に存在しています。
これは一見、無駄で効率の悪い時間に思えるのですが、実はわたしたちの精神を安定させるためにとても重要な時間なのですね。

自律神経には、交感神経と副交感神経があることはご存じの方も多いと思いますが
現代人の傾向として、このふたつのバランスが崩れている人がとても多いそうです。
交感神経は、活動しているときに働く神経で、副交感神経はリラックスしているときに働く神経です。
この二つがバランスよく働くとよいのですが、現代人は日々こなさなくてはならない仕事や雑務が多いため、どうしても交感神経優位な生活になってしまい、副交感神経が十分に働いていない傾向です。
リラックスする時間、休息の時間が足りないのですね。
加えてスマホで常にSNSと繋がっている状態ですから交感神経ばかりがオンの状態で、これでは自律神経のバランスが崩れて、心も身体も不安定になってしまいます。

わたしは以前、息子たちには週末は活動的に遊んで欲しいな~と思っていました。
お天気のいい週末など、外出せず、予定もないのは残念だと思っていたのです。
ところが彼らは「予定がないことが最高」「大人は予定を詰めたがるけれど、それは休みではないでしょ」と言うのです。退屈でないどころか、それが最高の過ごし方だと。
「平日は学校で朝から放課後まで勉強をし、先生やクラスメートや先輩後輩、親しい人やそうでもない人などいろんな距離を測りながら接しているだけで気を遣って疲れる。休日くらいはやっと訪れた自分だけの時間だから、敢えて人と会わないてゆっくりしたい」と聞いて、なるほど(意図していないと思いますが)積極的に選択してマイクロフローの時間を作っていたのだと腑に落ちました。(そしてたまに興味がある出来事があればしっかり出かけます)

親が休日の過ごし方まで押し付けてはいけないのだと、その大切な「ぼーっ」とする時間に侵入しないようにそっとしておいています。ぼーっとしているように見えますが、実は彼らの頭の中はとても大切な時間を過ごしているわけです。(ここのところを理解していないお父さん、お母さんは多いと思います)
もちろん、アクティブな活動でマイクロフローを創り出すタイプの方もいるでしょうから、過ごし方はそれぞれです。

このように、いうなれば「過覚醒」になりがちなわたしたち現代人は、意識的にオンとオフの切り替えを行うことが大切になってくるわけですね。
生活の中に「オフ」の時間を作りだすことを意識しましょう。
わたしは
・ストレッチやジョギング
・観葉植物へのみずやり
・パンを捏ねる
・ゆっくりバスタイム
・読書
などです。

あなたの「オフ」は、どんな時間ですか?