友人同士でも起こるカサンドラ


ある女性のカウンセリングをお受けしました。
意志的で理性的で活動的、接客の才能を生かして様々なイベントの企画運営をされている方でした。
あるアーティストの方とのイベントをされた後から、心身の不調に陥り、もやもやとしたものを抱えて
闇に引きづり込まれそうな心の辛さからカウンセリングを受けてくださいました。
このアーティストさんとは関係も長いのだそうで、完全な仕事相手というよりは
友人との中間といった印象です。

相手側に、社会人として普通は考えられないような態度や反応が見られ、
相手が何気なく発する言葉やSNSでの発信に「もやっ」とする違和感があり、
それが積み重なって何とも言えない嫌な塊が心の中に居座ってしまったようです。

一般的な対人関係の悩みかと思っていましたが、お話を伺ううちに、
そのお相手は発達障害の診断がある方だと分かりました。
そうなるとやはり少し話しが変わってきて、
病気の特性を知って考慮する必要が出てきます。
相手のおかしな言動には本当に悪意も作為もなく、ストレートなのです。
「言ったことを忘れてしまう(何度も繰り返す)」
「出来事がすべて自分に都合がいいように認識されたり書き換えられたりする」
(これは普通の人でも普通にあることですが、程度が違うようです)
「他者の存在がない」
「どこかヘンテコで、自分のほうが過剰反応しているの??と不安になり分からなくなる」
「事情を知らない人に話しても、理解してもらえない」
「それどころか、おかしいのはこちらだと言われる」


カサンドラ症候群に類似したケースですね。
やはり夫婦間でなくても起こり得ますし、相談者も理性的で感受性豊かで境界線が引ける自立した女性で
問題も特にないようですが、それでも発達に問題を抱えた人が近くにいるということは、とんでもなく
影響を受ける、しんどいことだということが分かります。

しかも「夫婦のように長い時間一緒にいて、縁が簡単には切れない相手」ではなく
イベントで短期間だけ一緒だった相手とでもそんな風に心身にダメージを受けてしまうのです。
改めて、共感性の低い相手と一緒にいることのズレの苦しさが
どれほど人を蝕むのかを見た思いです。

起こっている現象を説明したところ、あれこれが符合したようでようやく納得ができ
また、自分が間違っていたわけではないことも理解できて心が軽くなったようです。
人はやはり心の中に「もやもや」したものを抱えていると、
正体不明のものを抱えることで心の安全が脅かされ、ストレスとなります。

「理由の分からない呪縛が解けてスッキリしました!」
「一か月も一人で抱えて悩んでいたけれど、相談してよかった」
と晴れ晴れとした声で笑顔も見られました。


一人で抱えていても改善することは少ないですし、ますます思考が追い詰められていって辛くなり、
悪循環に陥ってしまいます。
悩んでいる方は、一刻も早く、人に話す、適切な相手に相談することをおすすめします。