成功者のハンデ

人は、あるがままの自分を受け入れること=「自己受容」がとても大切です。
これは生涯をかけて取り組むべき重要で、なおかつなかなか難しい課題です。

子どもが成長する過程で、「doing」を褒められて育った子は、
自分が成し遂げたことに自分の価値があると思うようになります。
「100点を取ったからえらい」「優勝したからいい子」などです。
あるいは「having」=「●●を持っているから素敵」も、同じようなものです。
それは大人になってからも、自己受容において影響を及ぼします。

何をしたかの結果ではなく、丸ごとの存在=「being」を受け入れられて育った子は、
あるがままの自分を丸ごと受け入れられ、自己受容できて育ちます。

人は本来は「being」であるだけで素晴らしいことです。
そこに「doing」「having」などの条件が入ってしまうと、
それができなかったとき、それを失ってしまったときの自分は
愛されない、受け入れられない自分、となってしまいます。
自分でもそれを見ないように、締め出そうとします。

プライドの高い人というのは「ダメな自分は自分じゃない。認めたくない」という人ですから、
実は受け入れられたことがなく、自己愛が傷ついていて
それを必死で守っている人かもしれませんね。
そう考えると、その人の中に3歳くらいの姿を見出すことができて、
よしよし、としてあげたくなってしまいます。
(それは結局大人になっていたら自分でそうするしかないのですけれど)

世の中には、社会的に輝かしい成功をおさめ、誰もが羨む富と名誉を手中にしながらも、
メンタルの平穏を失ったり、自ら命を絶ってしまう方が多いですね。

輝かしい「doing」や「having」はアドレナリンやドーパミンの大放出で
高揚感をもたらしてくれるものです。
それ自体は良いことですが、
やがてそれは「being」を脅かすことになります。

あまりに大き過ぎる「having」は、その人のアイデンティティになってしまうのですね。
それに飲み込まれないほど頑丈な「being」に根づいている人はよいのですが、
それが成功者の危険な側面です。

光が濃ければ、影もまた濃い。
成功者もまたそれなりにハードなものを抱えています。