「涙とともに種を蒔く人は 喜びの歌とともに刈り入れる」
聖書の一節です。
このことばをわたしに贈ってくださったのは、
30代でわたしが患った大きな病気の手術を執刀してくださった医師でした。
彼はクリスチャンでした。
当時わたしは、死の恐怖に怯えパニックになっていました。
二人の息子たちはまだ小さくて、
来年の誕生日ケーキを焼くことはもうできないかもしれない、と思うと
涙が流れていることが普通の状態、という毎日でした。
そしてそこから誘発された、自分や夫婦の抱える問題まで露になったことで
ますます心は苦しくなり、
生きていること自体とうてい乗り越えられそうにない壁のように私の前に立ちはだかっていました。
苦しいのでよく教会に出かけました。
涙ばかり出るので、教会くらいしか行かれる場所はなかったのです。
そんな苦しみに荒れた海でもみくちゃにされる毎日の中、
医師が贈ってくれたことばです。
どんな人にも息をするのも辛く、
生きることがとてつもなく難しいと感じることはあるでしょう。
でも、それは歓喜とともに報われる。
そう信じて生き抜いてきました。
人が生きるために必要なものは「希望」です。
その後も何度も種を蒔きました。
これからも蒔くでしょう。
でも、歓喜は涙の記憶をおおって、くつがえします。
大丈夫、あなたの涙は必ず、報われます。