六次の隔たり(Six Degress of Separation)

「六次の隔たり」って、聞いたことがありますか?

友だちの友だちを介していくと、6人で世界中の人と繋がれる、と言えば「あぁ、それ」と分かる方も多いのではないでしょうか。

例えば外国の大統領や首相、憧れの映画スターなど…6人で辿り着いてしまうなんて、なんだかびっくり。世間って狭いですよね。

この仮説は、心理学者スタンレー・ミルグラムの実験を裏付けとして広まったものですが、映画界での「ケビン・ベーコン数」としてご存じの方もいるかもしれません。

ところが、2016年にフェイスブックが行った実験によると、世界は平均「3.57人」で繋がっているのだとか。

ただしこれはフェイスブックを使っているユーザー対象の実験なので、もう少し多いかもしれません。それにしても、SNSの出現で確実に六次の隔たりよりは世界が「スモール・ワールド」化しているということでしょう。

ところが、隔たりが減っているにも関わらず、人と人との距離が遠のき、希薄になっている感じがします。何か言うとトラブルに巻き込まれる(モラハラ、セクハラ、アカハラなどなど)、昨今の事件の様相から未知の相手に対する警戒心も増したでしょうし、人に関わってはいけない、話しかけてはいけない、喋ってはいけない…コロナ禍でますます他者との関わりが希薄になってきている気がします。

それで全然困らない、むしろ楽という人は過ごしやすくなったと思いますが、それでも人は絶対に一人では生きられません。そしていざという時助けてくれるのはやはり人です。

電車やエレベーターなどで一緒になる、顔も知らない無数の人たち。あるいはSNSのむこう側にいる世界中の人たち。

そんな人と自分が、たった数人で繋がってしまうだなんて本当に不思議ですし、一体間にどんな人が挟まったら、このなんの関わりもなさそうな人と繋がるのか?と思ってしまいますよね。そう考えて身の回りを、世界を見回すと、少し世界が狭くなって、優しくしようという温かい気持ちになりませんか。世間は狭い、は本当ですね。